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ちょっと唐突ですが、私は建物の『屋根』にはその地域の風土や特色が色濃く現れると思っています。
東北地方には白川郷の合掌造りの茅葺き屋根があったり、江戸時代には豪華な瓦で作られた屋根があったりします。
また屋根に使われる素材(茅葺トタンレンガスレートコンクリートなど)が技術の発達と共に変化しました。
そして住宅の屋根が住宅街を覆う様子は、その地域の大切な風景や景観になります。

本土では三角屋根が主流ですが、ここ沖縄では雪が降らないので平屋根が主流です。
また沖縄は鉄筋コンクリート造りの物件が主流なのも特色の一つです。
(参照:『沖縄にはなぜ鉄筋コンクリートが多いのか』

「沖縄の屋根といえば?」と言われると、『赤瓦にシーサー』を想像する方も多いと思います。
しかし赤瓦の屋根は意外と少なく、別の形の屋根が沖縄県民にとって身近な存在だったりします。

沖縄の屋根の歴史

琉球地方の瓦はかつては灰色のものが主流であったが、18世紀に入ると赤色系の瓦が現れるようになり、主に首里城正殿をはじめとする王府・役所の建物や、神社等で用いられた。
しかし、一般の住宅では1889年(明治22年)に至るまで瓦葺きは禁止されており、赤瓦が広く市中に普及するのはこの禁止令が解かれた後であった。屋根に漆喰で作ったシーサーが置かれるようになったのも、この頃以降であると考えられている。

ウィキペディアより参照

このように赤瓦は王府などの特別なもので、「高貴な色」の赤を庶民が使うことは禁止されていました。
茅葺(かやぶき)から瓦の使用が解禁されたのは明治22年以降で、庶民はこぞって赤瓦を屋根にのせました。
ただし禁止令が解かれ一般的に普及したとはいえ、瓦屋根はまだ高価なためほとんどの住宅は茅葺き屋根のままでした。

昭和初期ほどから市街地建築物法による防火統制で茅葺きが禁止されたことを機に、安価なセメント瓦の住宅が誕生しました。
戦後の復興需要に加え、台風被害が大きい茅葺き家からの建て替えでセメント瓦が一気に広まりました。
また戦後のアメリカ文化からきたフラットな屋根のコンクリート住宅(RC造り)も誕生していきました。
昭和34年頃からセメント工場が県内に創設されていくと、住宅は一気にコンクリート造が主流となり、復興の一翼を担ったセメント瓦は衰退していきました。

私達が子供の頃によく見てきた住宅の風景は、コンクリート瓦と外人住宅のフラットな屋根が折り重なる、まさにチャンプルーな風景でした。

沖縄の屋根の種類

赤瓦屋根
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沖縄のイメージはシーサーと赤瓦

この屋根は一番想像しやすい屋根だと思いますが、実は沖縄本島で見る機会はそれほど多くなく、その理由としては先の大戦による住宅の損壊がありました。
沖縄の住宅のイメージである『シーサーに赤瓦』が連なる風景は、実は戦争破壊の少なかった離島のイメージかもしれません。

琉球瓦は直射日光を反射し熱を吸収しない素材のため断熱性に優れています。
また通気性も良く室内の換気や結露の防止効果
もあります。
そのため近年は赤瓦が見直されています。

セメント造りの瓦屋根
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戦後に流行ったセメント瓦住宅

戦後復興期の昭和30年代から、製造工程での焼きを入れる必要がない安価なセメント瓦住宅が多く普及しました。
赤瓦は台風で吹き飛ばされてしまうことが多いのですが、セメント瓦は重さがあり、銅線で骨組みに結んで固定できるので台風などにも強いのが特色です。
また耐久性がある事も人気に拍車をかけました。

また赤瓦の色にこだわらず白色でまとめたお洒落なセメント瓦も多く施工されました。

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セメント瓦を白く装飾した住宅

赤瓦に変わって主流だったセメント瓦ですが、アメリカ統治下におけるRC住宅の普及や、昭和34年頃にセメント業者が操業を開始しセメントが大量に流通した事などにより、RC(鉄筋コンクリート)建築の家が徐々に増えていきました。
屋根に瓦を葺く作業がなく、デザインの幅が広がるRC住宅に人気が出た事により、セメント瓦は徐々に衰退していきました。

RC住宅
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アメリカ文化から生まれたコンクリート住宅

戦後のアメリカ文化からきた、フラットでお洒落な屋根のコンクリート住宅が普及していきました。
スタイルは壁式構造で、フラットな屋根が乗るシンプルな外観が特徴です。
主に1950~70年代に建てられた外人住宅は、コンクリートブロックを積み上げた組積造という構造で、箱型の内部はいくつかの部屋に分割されています。
木造住宅が主流だった頃にコンクリートで作られたモダンな外観の住宅は、戦後の沖縄の人々にとって憧れの対象でした。

ただ屋根裏が存在しないため、夏は直射日光で温められた屋根の熱がそのまま室内に侵入し室温が高くなります。
またコンクリート住宅は湿気なども溜まりやすい面もありますが、災害に強く騒音などに強いといった優れた面もあります。

現存している住宅のほとんどが老朽化していますが、現在はお洒落なカフェなどとして活躍している物件も数多くあります。

希望のツノって知っていますか?

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昭和40年代頃からよく見るようになるツノ出し住宅

鉄筋コンクリートが普及してきた頃から、屋根の上にツノが出ている建物が増えてきました。
これを”希望のツノ”と呼びます。
当時のRC住宅の屋根は平屋で上に建物を乗せやすい造りで、将来の増築を見据えて建物の基礎になる柱を屋根に伸ばした事が『ツノ出し』の理由でした。
『今はまだ平屋しか作れないけど、いつかは増築したい!』といった家族の夢と希望の表れでもありました。

増築の際には再登記をする事が必須ですが、当時は再登記をする方が少なく、建物の売買が起きた時に実際の床面積と登記簿上の面積が違う事があります。
そんな時は『夢を叶えられたんだ』と心がほっこりするとかしないとか…
(皆さん登記はしっかりとしましょう笑)

屋根には沖縄の歴史が詰まっている

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現在はより施工技術が発達した事により、個性的な屋根が増えています。
また琉球瓦の良さもが見直され、モダンな作りに瓦を載せている物件も多数あります。
屋根一つを取ってもこれだけの変化があり、歴史的な背景や当時の社会の状況により大きく変わっていきました

色々な形をした屋根が集合した住宅街は、その土地の風景や景観を醸しだし、どの形の屋根も美しく映えて佇んでいます。
そして沖縄の青い空のコントラストと住宅の屋根屋根が重なる風景群は、私達の心に今でも大きく残ります。

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