米軍人・軍属に家を貸すために必要なことって?
米軍人・軍属に家を貸そう
前回は【投資としての米軍人・軍属向け物件って何?】というテーマで軍人向けの物件の仕組みについて書きました。
後編は『物件をどうやって貸すのか』という内容でお伝えします。
どんな方でも「無駄なくスムーズに客付けしたい」と考えているはずです。
その為にはどんなステップが必要なのかを、出来るだけ分かりやすくお伝え出来ればと思います。
また実際のオーナー目線から見た記事【沖縄移住を見据えた不動産投資】を一緒に読んで頂ければ、より理解度が増すと思います。
STEP1【米軍人向け不動産業者を探そう】
物件を所有したのに不動産業者が決まっていないのは非常に不安ですよね。
よく『不動産業者に相談するベストなタイミングは?』と聞かれますが、新築ならば建てる前、中古物件なら購入前に相談をするのが次のステップに無駄なく進む事が出来ます。
物件を探す前や投資以外の事でも、気になる事があればこちらに相談してはいかがでしょう?
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不動産業者を選定したら、今後は軍検の準備に取り掛かりましょう。
STEP2【軍検を依頼しよう】
軍検とは?
軍検とは『米軍による住宅性能検査』の事を指します。
嘉手納基地内に【ベースハウジング】(今後はBHと表記します)という住宅検査や物件情報、軍人軍属への家賃支給などを統括している事務所があります。
このBHからの軍検を受けないと、米軍人・軍属を住まわす事ができません。
ただし軍属だけに限った事ですが、BHを通さずにアメリカ本国の会社から家賃手当が直接出る場合は、BHの認可を受ける必要はありません。
ただ家賃手当はだいぶ低いのが相場なので、認可をしっかりと受けられる物件を購入・入居出来るようにしましょう。
そして軍検はBHの認可を受けた不動産業者にそのまま依頼しましょう。
ちょっと裏の手ですが、実は自分で取得する事も可能ではあります。
その際には嘉手納基地に入れる《通行許可証》を持っている事が必須となり、自らの名前でBHからの認可を受け、軍検査の知識を持って検査準備を全て行わなければなりません。
非常に限定的で手間が掛かる事ではありますが、管理費など不動産業者に支払う費用が全て自分のものなので、稀に自分で全て行う方がいます。
でもこの形はハードルが高すぎてちょっと現実的ではないですね(笑)
STEP3【軍検について知ろう】
日本では、建物を建築した際に中間検査と建築後の完了検査が義務化されています。
そして自分の住居でもアパートのような共同住宅でも、この検査に合格しないと住む事ができません。
日本の検査は他の国に比べても非常に厳しいのですが、米軍人・軍属相手になると日本の検査をパスしていても軍検査では通らない事があります。
現在の軍検内容は日本寄りの検査内容になってはいますが、以前はあまりにも乖離しすぎていて業者でも戸惑う事が多々ありました。
検査に最低限必要な事は?
室内の広さ
まず第一に最低限度の占有面積がないといけません。
最低でも室内の大きさ(占有面積)が550sqft(51.15㎡)は必要で、それ以下の面積の物件は軍検査を受ける事ができません。
またクローゼットや食品庫などの基本的に人が入って生活出来ない室内スペースは除外されてしまいます。
ベランダやバルコニーなども占有面積以外とみなされます。
ただし靴箱や戸棚など壁から出て設置されているものや、備え付けのタンスなどは面積の一部になります。
基地から建物までの距離
これに該当する物件はほぼないのですが、例えば本島南部に物件を購入しても、嘉手納基地や他の基地からの距離が離れすぎていると軍検査を受けることができません。
常識的に考えても基地より離れすぎた所に住みたいと思う方はほとんどいません。
米軍人・軍属向けの物件が中北部に集中している理由には、その他の地域ではニーズがない事と、軍検査に通らないといった点があるのです。
建物が古い
日本では昭和55年以前の物件に関しては耐震診断を受けなければならない義務があります。
軍検査でも築25年以上の物件は一級建築士の耐震診断証明書が必要となります。
米軍用の耐震診断書式があるので、どの一級建築士でも出来るわけではありません。
また極端に古い住宅などは、リフォームをしていない限りは誰も住む事はないと言えます。
家賃はどうやって設定されるの?
昔はオーナーの望む金額設定が出来ましたが、現在はベースハウジングの規定に基づき設定されます。
基準となるのは①地域、②部屋数、③お風呂場とトイレの数、④地価(土地の市場平均価格)が主に挙げられます。
①地域
ハウジングオフィスが家賃を各市町村ごとに細かく設定しています。
例えば違う市町村に全く同じ建物があったとしても、設定される家賃は多少変わります。
これは米軍人・軍属のニーズによって金額を調整して設定されているからだと考えられます。
また④の地価相場にも連動して設定されています。
②部屋数
部屋の数に対して家賃設定が大きく変わります。
例えば同じ面積の建物が2棟あったとして、1棟は1LDKで、もう1棟は2LDKの物件があったとします。
この場合は同じ面積でも、部屋数が多い2LDKの方が家賃設定が高くなります。
ただしハウジングオフィスが2LDKとして認める面積を超えていないと、1LDKと見なされてしまいます。
同じように3LDKの物件でも面積基準を満たさないと、部屋数があっても2LDKや1LDKと同様と判断されます。
一覧表にまとめてみましたので、ご参考になさってください。
間取り |
最低限必要な面積 |
|
1LDK |
550SQFT(約15.2坪・50.7㎡) |
|
2LDK |
750SQFT(約21.0坪・70㎡) |
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3LDK |
960SQFT(約26.6坪・88.7㎡) |
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4LDK |
1080SQFT(約30坪・100㎡) |
|
単位の見方:1坪=35.58SQFT 1㎡=10.75SQFT 1坪=3.33㎡ |
③お風呂場とトイレの数
②の部屋数と連動するのですが、例えば3LDKの物件を所有していて面積も十分にクリアしているとします。
ただお風呂場とトイレの数が1ヶ所ずつしかなかった場合、実は2LDKと見なされてしまいます。
実はハウジングオフィスの規定として、2LDKにはお風呂場とトイレが1ヶ所ずつ必要になり、3LDKにはお風呂場かトイレのどちらかが2ヶ所必要で、4LDKにはお風呂場とトイレが最低でも2ヶ所ずつ必要になります。
ハウジングオフィスの部屋数の認定を受けるには、お風呂場とトイレの数はお部屋の数と比例して増やす必要があります。
それと同時に占有面積も大きくしていかなければいけません。
④地価(土地の市場平均価格)
地価基準は最近から適用されるようになっています。
全く同じ間取りの物件が各市町村にあったとしても、その地域の地価が安い場合は価格を下げられる事があります。
これも①と同じ理由になります。
STEP4【軍検に向けて準備しよう】
軍検の準備は依頼をした不動産業者が全て行うことではあるのですが、オーナーサイドが用意しないといけないものもあります。
・鍵(3本)
軍検査のために鍵を1本ハウジングオフィスに預けます。(合格後は返還してもらえます)
検査を待つ間の部屋の確認や補修などのために1本必要です。
合格後に契約が決まると借りる方に2本、不動産業者が1本保有します。
・物件名
米軍人・軍属向けの物件には名前を付けなければなりません。
例えば自分の苗字や子供の名前をあしらったものや、物件から見える景色や風景を表したもの、または自分の好きな言葉をあしらったものなど、多種多様な物件名があります。
自分の大切な物件に素敵な名前を命名してください。
・家具家電の用意
基地内にはコンベクションオーブン付きコンロ・冷蔵庫・洗濯機など家電の貸し出しサービスがありますが、現在は『嘉手納基地所属のファミリーのみ』の貸し出しのみとなっています。(色々なケースによって変わることもあります)
その際は各家電をオーナー側で用意してもらう必要があります。
不動産業者によっては家電のリースサービスを行っていますのでお尋ねください。
最初から家電を設置している場合は問題ないのですが、設置しない場合はアメリカ製の電圧やコンセントの設置や、各家電を設置するために必要な規定がありますのでご注意ください。
・所有物件の住所
特に新築の時は住所が確定していない事があります。
この住所は合格後もずっと使っていく住所になるので、こちらはしっかりと確定させましょう。
・登記(仮登記を含む)
所有者と登記上の所有者は同一である必要があります。
中古物件を購入した場合は、売買の際に行政書士の下でしっかりと名義変更登録を済ませてください。
新築の場合、仮登記の状態でも軍検を依頼することができますので、早めに仮登記を済ませるようにして下さい。
それ以外にリビングや各部屋には煙探知機が必要であったり、ドアストッパーやカーテンレールなど設置義務が課せられているものが細かくあります。
こういった点をオーナー自身で用意するとコストダウンに繋がりますので、自分で設置できる場合は自分の手で行うのも一つの手です。
不動産業者としっかりと確認を取って軍検に進んでいく事が重要になります。
STEP5【軍検に合格したら】
軍検に合格したら不動産業者が客付けをしていきます。
成約するまではオーナー様には定期的にお部屋の確認や清掃や庭の草刈りなど、いつでも清潔な状態をキープできる事が大切です。
また不動産業者に依頼する事も可能です。(費用がかかりますのでご確認ください)
のちに成約が決まったら、不動産会社へ支払い方法や支払日の確認などを行ってください。
また入居後でも様々な補修やメンテナンスなどが起こる場合がありますのでご注意ください。
大まかではありますが、これが米軍人・軍属向け賃貸の流れになります。
収入物件に興味のある方の参考になれば幸いです。
沖縄移住をして収入物件の家賃で暮らす生活はいかがでしょうか?