移住者も心配してます。普天間基地移設、辺野古問題に想うこと。

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辺野古ビーチのフェンス

沖縄移住者の中山です。
その時の判断で投票先を考えるノンポリ無党派層です。
特定の宗教も特にありません。
結婚式は神社で挙げましたが、クリスマスにはサンタの仮装をします。

政治・宗教・野球の話は、ビジネスの上では禁物。
当たり障りない天気の話から始めなさいなんてビジネストークを習いましたが、
内地に出張した際など、沖縄の基地問題の現状を問われることが増えてきました。

「辺野古問題で沖縄は大変だけど大丈夫?」
「基地問題は、実際どうなの?」
そんなデリケートな質問を受けるたび、一言じゃ片付けられない難しい問題という解答しかできないので、少し深掘りしてみました。

辺野古はどこにあるの?

辺野古地図
宜野湾市にある普天間基地の移設先として、辺野古にあるキャンプシュワブに滑走路を埋め立てることになりました。
住所は、沖縄県名護市辺野古。沖縄本島東側の大浦湾に位置します。
那覇からは車で1時間ほどの場所にあります。

辺野古ビーチ

辺野古ビーチ

車載カメラによる動画(那覇I.C.から辺野古ビーチ)

動画3:00頃が抗議活動のテントがあるキャンプ・シュワブのゲート前です。

フェンスに区切られた静かな海

休日に行ったので、辺野古のビーチは誰一人いませんでした。
フェンスで区切られた向こう側は、キャンプシュワブになります。
垂れ幕は反戦のメッセージがたくさん書かれていますが、その市民団体はほぼ内地の支部名だったのが気になりました。

新基地反対横断幕

静か過ぎる海を眺めているとここが本当に問題になってる場所なのか?という印象すら受けます。
国境を行き来するヤドカリを見つけて喜ぶ息子には、このフェンスの意味も横断幕の意味もわかりません。

辺野古ビーチのヤドカリ

親として未来を担う子どもたちの幸せを願い感慨に耽ていましたが、
恐竜の骨を見つけた!とサンゴを拾う無邪気な息子の鼻水が気になってそれどころではありませんでした。

辺野古問題とは?

基地反対の赤いリボン

基地反対の赤いリボン


詳しく説明すると日が暮れてしまうので、要約します。

(1)戦後、沖縄には米軍の専有基地が集中してます。
(2)世界で最も危険な基地である普天間基地の移設先が名護市辺野古に決定
(3)米軍の少女暴行や沖縄国際大学にヘリが墜落したり、米軍不要の機運が高まる
(4)鳩山首相が「移設先は最低でも県外」と豪語して、後に撤回
(5)仲井真弘多県知事が「最低でも県外」に同調したが、後に辺野古埋め立てを認める
(6)翁長雄志知事が「辺野古埋め立てに反対」で当選
(7)県と国との法廷闘争へ

この項目以外にも様々な要因が問題を複雑化しています。
琉球・沖縄の歴史/振興予算/尖閣諸島/基地返還の経済効果/軍雇用員/沖縄地上戦/日米安保条約/集団的自衛権/軍用地/オスプレイ配備 …
その他、たくさんの要因に対してそれぞれの意見があり、反対・賛成の立場が存在します。

翁長県知事は、声高にオール沖縄としての意見を発信おりますが、県民それぞれがこれらの要因に少なからず関わる立場もあって、一概に反対!賛成!と線を引けない事情があるように感じます。

また、反対!という意見はメディアが賛同しますが、賛成!という意見は口外できない雰囲気があることは間違いありません。

ジュゴンを守るという違和感

辺野古を囲う大浦湾内には多くのサンゴが生息しており、ジュゴンの好物の海草類もたくさんあります。
米軍基地の埋め立てにより、貴重な海洋資源を失ってしまうと反対意見を耳にします。

先日、知り合いのオジイがもずく採りに誘ってくれました。
場所は那覇空港近くの大嶺海岸。瀬長島から干潮時を狙って、沖合に向かって一時間ほど歩きます。
ところが、例年余るほどとれていたモズクが不作。
聞けば、那覇空港拡張による埋め立てにより、海流が変わってしまったとのことでした。

オジイは子供頃からずっとこの海でもずくを採ってきたらしいです。
そんなオジイが帰り道、私に「せっかく来たのに採れなくてごめんなぁ。。。」と悲しげに一言。
オジイは何も悪くないのに…。

オジイと瀬長島

オジイと瀬長島

辺野古では、ジュゴン他、多数の貴重な生態系破壊を理由に埋め立てを弾糾していますが、那覇の海はいいのでしょうか?
そもそも沖縄は埋め立てによって海岸線が増大してます。また、港を整備する際は海底の地形が変わってしまいます。
政治家さんは、環境影響評価を理由に辺野古を反対してますが、オジイの悲しげな顔をみると切なくて何ともいえない感情に苛まれました。

那覇市のウチナンチュはどう思ってるのか?

私の住む那覇では特に目立たった反対・賛成運動を目にすることはありません。
職場でも家族でも、あえて会話に出さなければ、話題にもあがらないのが大半です。

話題にあがらないので、
あえて、那覇市在住のウチナンチュにインタビューしてみました。

プランナー:40代 女性

普天間基地の危険除去が一番優先順位が高いと思っています。
だからと言って普天間基地を辺野古に移設はできない。
辺野古移設を(しぶしぶでも)受け入れていた頃ならいいと思うけど、今はもう無理ですよね。
だって辺野古・名護の人たちが自分たちのところに基地が来るのを反対しているから。
反対しているところに無理やり移設するのは非人道的。
選挙の結果をどう考えるのか。
辺野古移設を推し進める政治家は、身内を辺野古に移住させてからもう一度よく考てほしい。

プログラマー:30代 男性

私自身、基地問題に関してあまり、興味はないです。
それは那覇市在住で基地のことが実際、身近に感じられないからです。
大学時代、在学中である沖縄国際大学に米軍のヘリコプターが落ちました。
その時は実際、基地は無くなれば良いと思ってました。
それから10年以上、年月は経ち、私の中で風化されてしまいました。
こういうことを言うことはダメですが、
那覇市に飛行機が落ちたりしたら間違いなく、基地が沖縄にあることは反対です。。。
そのくらい身近にならないと基地問題に関して興味が感じられません。

デザイナー:30代 女性

とても複雑で難しい問題ですが、個人的に基地は反対です。
地理的なこともありますが、全国の基地の約70%がこんな小さな沖縄に集まるのは負担が多すぎると思います。
軍用地料など経済面での助成があるからいいだろうというニュースを見ましたが、それはほんの一部の人たちで、それ以外は事故や事件など安全・治安の心配をしています。
また那覇市民は、宜野湾市や名護市よりも基地問題に対する熱が低いと思われがちですが、沖縄県民の意見を無視した政府の強制的な態度には憤りを感じている人も多いと思います。
しかし、昨今の安全保障の観点からいうと100%反対とは言い切れない部分もあるのかとも考えていますが・・・
やはり有事の際に狙われるのは沖縄なので99%反対です。
かくいう私の親はベース勤務だったので、そのおかげで不自由のない普通の生活ができたのも事実です。

プログラマー:20代 男性

基地を退かせたい人、基地からの収入で生活してる人、同じ県民の中でも悲しいジレンマがある。
この問題が解決しなければ多くの悲しみを生むだけ。
反対意見も環境保全が目的なのか当初の基地縮小に対する矛盾についての反対なのか、
ごちゃまぜになっている気がする。
政府が出て来て説明するべきだと思う。

オペレーター:20代 男性

基地が県内に有る事で不利益を被ると感じた事はないですし、
実際親族の中にも軍関係の人と結婚している人もいるので嫌だと感じる事はないのですが、
いざ有事が起こった時に真っ先に狙われるのではないかという怖さはあるなと感じてます。

沖縄メディアに喝!

情報はネット等でも収集できるので、情報リテラシーの差異で、受け取る情報も変わってきます。
沖縄のマスコミは、基本的には基地反対の姿勢です。
内地のマスコミは、それぞれメディアの立ち位置によって報道のされ方も違います。
インターネット上では、移設賛成も反対も過激な意見も収集することができます。

在沖米兵が人名救助で感謝状。なんて美談は事実であっても沖縄のメディアは黙殺してしまいます。
反対に米兵の不祥事は大々的に取り扱われますが、どちらもフェアに報じるべきだと考えます。

政治的なポリシーがあっても個人レベルで米兵を嫌う必要はどこにもありません。
中国・韓国に対しても同じです。
大学時代に、中国に留学した際も年配の方からは日本人というだけで毛嫌いされることもありましたが、学生同士では隣国と交流を持てたことの喜びを共有できたことを鮮明に覚えています。嫌韓で騒がれる朝鮮半島にも親友がいます。民間交流であればいくらでも仲良くなれるのが人間なのに…

沖縄のメディアを応援したいからこそ、あえて意見を言わせていただきました。

最後に

私は、移住者なので沖縄の土地に住まわせてもらっているという思いが根底にあります。
ただ、那覇市・沖縄県・日本国への納税者として、今の状況は心地良くありません。
もちろん戦争は反対だし、基地だって戦争がなければ必要ありませんが、
ステレオタイプな見方だけでは、現状を打開できない社会情勢であることも事実です。

戦争はもちろん反対ですが、着陸するオスプレイに向かって反対の風船を揚げたり、フェンスに画鋲入りのリボンを巻きつけたりすることは見たくありません。

米軍と共存することで生まれたチャンプルー文化という側面もあるので、平和的な解決ができることを切に願います。

そして、会ったこともない安倍首相や翁長県知事を悪く言うことは、小生唯一のポリシーで言いたくありません。(かといって、意見だけ言って代替案は私にないのですが…)

あえて言うなら、那覇空港の増設をやめて、その分は嘉手納基地も返還して民間利用の嘉手納空港をつくる。
普天間と嘉手納の軍備は、中国が南沙諸島に埋め立てして作った人工島をアメリカと中国が仲良く共用で利用する。。。
そうすれば、那覇のもずくも辺野古のジュゴンもオジイの笑顔もすべて解決。
はい、、パソコンデスクの空論です。

沖縄県は、海外からの観光客も順調に増えています。
人種や信条に関わらず、沖縄は懐の広い心で受け入れる素晴らしい県民性があります。

移住者である私も辺野古問題を対岸の火事のような捉え方ではなく、未来を担う子どもたちが平和で安全な沖縄で暮らせるよう考えていかなくてはなりません。

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